9月 経営方針共有勉強会
今月のテーマ
《 極める 》
・・・・・・・・・・・・2016年9月1日
・・・・・・・・・・・・有賀泰治
1、当事者意識を持つ
傍観者はダメである。
どんな仕事でも、当事者になることが肝心である。
・・・・・藤田 田/日本マクドナルド・日本トイザラス /創業者
当事者意識とは、すべて自分の問題としてとらえられることである。
この当事者意識を持てる人かどうかが、いわゆる世の中で役に立つ人かどうかも分ける。
当事者意識を持てない人がいる。いわゆる傍観者だ。これは楽だ。しかし、生きていく意味はあまりない。すべての人の頑張りや行動の結果のおこぼれで生きていこうという、さもしい心情の人なのだ。
同じように失敗についてだが、カーライル/歴史家・評論家/イギリス は次のように言う。「失敗の最たるものは、何一つそれを自覚しないということである」
本当に自覚のない人と、意識的にというか自分から自覚のないように距離をとったり、現実や現象を見ない人がいる。
実にもったいない人生である。
人生は自分のものである。そこに傍観者でいることは、なんともったいないことか。
2、外見も大切
人は一般的に、内容よりも外見で判断する。
内面も判断できる洞察力を持つものは、まれである。
・・・・・ニッコロ・マキャベリー/思想家
人の中身を見抜くことは大変である。マキャベリーが言うように、人は大抵は、見た目で判断する。そして見た目に影響を受ける。
ということは、逆に言うと、見た目は大切だということだ。見た目で判断されたことをくつがえすのは大変なことである。
だから見た目も重視しなければならない。論語の中で中身こそ大事という、衞の大夫蕀子成(きょくしせい)に対して子貢(しこう)が次のように言っている。
「外面的な文 (見た目のかたち、礼、教養 )と内面的な質 (その人の実質の力 ) は別物ではなく、外面は実質と一体であり、実質も外面と一体です。虎や豹の毛を取り去ったなめし皮は、犬や羊の毛を取り去ったなめし皮と同じもので区別がつかないのと同じことです」と
案外、人は外見をそれなりにしていくと、中味をそれにしたがうように努力するものだ。だから、その意味でも外見を重視するとことは自らを伸ばしていくことにもなるだろう。
3、信用とは何か
信用とは人に好かれること、約束を守ること、人を儲けさせること。
・・・・・本田宗一郎/ホンダ創業者
信用が、人間社会、人間関係の基本である。この信用が多い社会こそが、一つの目指すべき社会なのだ。
信用があれば人は安心して生きていられる。人とビジネスをすることができる。信じ合えることで、人生は豊かなものになる。
では、信用とはなにか?
孔子以来、その信用について説明がなされてきたが、今の時代に一番わかりやすい説明は、本田宗一郎の言葉に尽くされているのではないだろうか。こういうことが信用なのだという本田宗一郎の本質的直感は、現代ビジネス、生活で得てきた知恵なのである。
本田宗一郎の言う、この実践をすれば、生涯あなたは信用のある人と重きを置かれることまちがいないだろう。
すなわち、
人に好かれ。
約束をまもり。
人を儲けさせること。 ・・・ある。
4、スポーツを極めた平和の力
リオ・オリンピックの余韻が残る日本列島。日本が過去最多の41個のメダルを獲得した今回は、「史上初」とか「○年ぶり」という場面が多かった。
その一つ、錦織 圭選手が獲得したテニスの「96年ぶりのメダル」で、日本の五輪初のメダル獲得種目がテニスであることを知った人も多いだろう。1920年、アントワープ大会で、銀行員の熊谷一弥(いちや)が銀メダルを獲得。日本にまだラジオ放送もない時代の快挙だった。
その活躍をひもといてみた。フィリピン等の国際大会で活躍した同選手を、先輩たちが支援し、米国に留学させた。めきめき頭角を現し、五輪の前年に全米3位に。メダルは第1次世界大戦終結の2年後のことだった。
当時の帝国主義の世相にあって、先見的な彼の言葉がある。世界の中のできごとですべてを「スポーツ精神で処理していれば、戦争など起きない」
「スポーツの世界では、差別は一切ない」(『ライバルと成長』・学研教育書)
5、志は大きく。どんな小さな仕事も誠実に。それが “ 大きな仕事 ” つながる道だろう。
江戸時代の村々では、地図にあたる「村絵図」を作った。合わせると「国絵図」になり、さらに集成すると「日本総図」になる。だがその精度は、同時代に伊能忠敬(いのうただたか)が作成した日本地図には及ばなかった。
忠敬が用いた測量法は、工夫こそ凝らしているが、当時の一般的な方法で、技術的には大差ない。では何が違ったか。それは “ 志の大きさ ” であるという。忠敬は「地球上における日本の位置と形を明らかにしようとした」(星埜由尚著『伊能忠敬』山川出版)
気宇壮大な忠敬は、一方で、実際の仕事は丁寧だった。現地を自分の足と目で測量した。調査に及ばなかった場所は、地図には書かなかった。
レインボーブリッジのような橋を架ける仕事をしたいと、建設会社に入った友がいる。最初の現場は、人が歩いて渡るほどの小さな橋だった。職場の先輩は彼に教えた。
「この仕事は、やがて地図に刻まれる」。それから20年。彼は最初の現場を忘れず、信頼と実績を築き、現在、要職で活躍する。
6、人が決めてである
人が集まることが始まりであり、人がいっしょにいることで進歩があり、人がいっしょに働くことで成功をもたらしてくれる。
・・・・・ヘンリー・フォード/フォードモーター創業者
企業は人なりである。もちろん国家も人なりである。
ここでは、フォードは企業が成功するためには人がすべきであることを、順を追って説こうとしている。
まずは、人が集まらなければいけない。できるだけ人生に向上心を持つ人で、この仕事に意識がある人がいいだろう。
次に、集まった人を組織化し、良きリーダーを選ぶ。リーダーの下に、全スタッフが自分の役割をそれぞれに果たし、同じ目的に向かって共に働くことが求められる。各スタッフの幸福が企業の発展につながるのが理想だ。
イギリスのメジャー元首相も、フォードの言葉に触発されたような言葉を述べている。
「まず仲間を作ること。次にその団結を固めること。そして一人ひとりがどの役割を担い、どう実行するかを理解すること。あとはいい仕事ができるよう前進あるのみである」
7、自身を磨く
発明王のエジソンは、どうしても作り出せなかったものが二つある、と対談で語った。「一つはダイヤモンドで、いま一つは真珠です」
その対談相手だった御木本幸吉氏が、世界で初めて真珠の養殖に成功したのは1893年(明治26年)7月11日。数年の努力を一夜にして水の泡にした赤潮や、周囲の嘲笑や無理解といった幾多の苦難を乗り越え、真珠の養殖は不可能という通説を覆した。
日頃、御木本氏は「あなたはほどの人になると、恐いもの知らずでしょう」と言われると、「いやいや、わしの恐いのは小学生の生徒です」と答えるのが常だったという。(永井龍男著「幸吉八方ことがし』文春文庫)
未来ある人間に無限の可能性を見出すところに、氏の慧眼が示されている。
幾多の時代、近年では明治の革命の時も、活躍したのは青年だった。「常に青年が時代を動かし、新しい時代を作っている」
真珠は、アコヤ貝が侵入した異物を吐き出さず。包み込むことで作られる。
青年もまた、苦悩や苦難から逃げず、放り出さず、それを糧として自身を磨く中で、輝ける。
8、価値ある人
名ばかりの成功者になるよりも、真に価値ある人になれるように努力しよう。
・・・・・アルバート・アインシュタイン/物理学者
人の世の仕組みは、うまくいかないところもあって完璧ではない。どうしても、名ばかりの成功者を生み出してしまうことは、致し方ないことである。
肝心なことは、名ばかりの成功者にあこがれてしまい、それを求めていかないようにすることである。人として求められるべきは、真に価値ある人間なのである。
真の価値ある人間とは、自分の周りの人たちや世の中の人々の幸せや喜びの実現のために役立つ、有意義な人生を送っている人のことだ。
ノーベル文学賞をとっても、自分の国をおとしめ、名誉と誇りを失わしめる言論をし、他国の権力者たちの歴史をほめたたえる人間にはなってはいけないだろう。
若くして時流に乗って、ちょっとだけ売り上げを上げ、マスコミにちやほやされて、舞い上がり、偉そうにする経営者になってはいけないだろう。
真に価値ある人間こそ、私たちの社会の宝ではないか。
9、生涯求道
落語家になると決めたのは小学校4年の時だった。「どうしても噺家(はなしか)になるんだ」固い決意を聞かされた祖母は、3日間寝込んでしまった。落語家には、職業というより “ 道楽者 ” の印象があったからのようだ。桂歌丸さんの少年時代の話である。(『宇多丸 極嬢人生』・祥伝社)
歌丸さんが、今年6月で放送50周年をきざむ演芸番組「笑点」の司会を卒業した。
役目を終わっても自分は自分。よく見せようと気負ったりしない・・・そんな信念を思わせるエピソードがあった。
歌丸さんが同番組の5代目司会者に決まった時、記者が質問した。「笑点をどう変えるんですか?」歌丸さんは答えた。「出汁は変えませんよ」
奇をてらわず、芸道本来の味わいが醸し出す、熟成のような変化を重んじたのだろう。自分の生き方に確信を持つ人は、地位や立場に紛動されないし、必要以上に執着もしない。
10、知らないことがわかること、これが真の勉強、教育だ。
教育とは、
あなたがいかにたくさん記憶するかとか、また、いかに多く知るかということではない。
それは、あなたが知っていることと、知らないことをきちんとわかるようにすることである。
・・・・・アナトール・フランス/作家
人間は独学でもいろいろ身につけることができる。実際に独学で身を起こし、偉人になった人も数多い。
こういう独学からの偉人の特徴は、強烈な意志の強さと、自己反省力や自己観察力、そして歴史から新しい動きまで常に自分に取り入れていこうという向上心を持っているところにある。
常に知識を詰め込んでも大した意味はないのだ。実は、ここに真の教育の目的がある。
真の教育というのは、その人が今どこにいて、何を知っていて、これから何を学んでいかなくてはならないのかという姿勢をきちんと教え、指導することにある。
孔子も弟子の子路(しろ)に次のように指導する。
「知っていることを知っているとし、知らないことを知らないこととする。これが知るということだよ」と。人は、つい今までの狭い自分の知識、知恵だけで「知っている」と思い込みやすいことにも十分注意しなれればならない。
11、教えることは、自分が多く学ぶことである。
教えることは、二倍学ぶことである。
・・・・・ジョセフ・ジュベール/思想家・哲学者
教えることは本当に難しい。しかし、だからこそ教えることは、自分が変わるほどに学ぶことでもある。なぜ教えるのが難しいのか。
一つは、自分の理解が不十分で、力が足りないことによる。自分勝手に思い込んでいることもある。人に教えるにあたって、「なぜそうなのか」を初めて考えることも多いだろう。そのとき自分がどうしてこう考えているのかもよくわかる。
もう一つは、教える相手がそれぞれに個性があって、才能のあり方もそれぞれ違うからだ。
吉田松陰が最高の先生、指導者と言われるのが、人それぞれの才能を見出し、それに応じた教え方をしたからだ。最後の獄中で、囚人たちに持ち回りの講義をしてもらい、それを講評したのが名著
『講孟箚記』 コウモウサッキ
である。松陰わずか20歳のときだ。
これは、推測だが、松陰は、日本の将来をどうしていくのかと教えていく中で(それを弟子たちが実践していく中で)自分も動かなければならないと自分自身を大きく変えたのではないか。
12、正直
正直は最良の政策
・・・・・ドンキホーテより ミゲル・デ・セバスチャン/作家
現代において世界の中で繁栄している国といえば、EUではドイツ、アジアでは日本、あとはアメリカであろう。
新渡戸稲造の『武士道』は、日本やドイツが、まだ、商業道徳が不十分である時代
(ただ、ドイツは、アングロサクソン風に、「正直が『引き合う』〔利益につながる重要なこと〕を学んだ」とあるが)・・・に書かれた。
新渡戸稲造は言う。
「アングロサクソンの商業道徳の高さに、私は心から敬意を抱いている。そして、このことの究極の根拠をたずねてみると、それは、『正直は最高の策』というもの(それだけの価値があるもの)ということだ」
武士道はお金儲けを否定したかもしれないが、その精神たる、誠や正直という徳は、実は、アメリカやドイツのプロテスタントと並ぶ、世界にも少ない「資本主義精神を生み出すもの」なのである。
誠と正直のないところにビジネスの成功も国家経済の繁栄もない。
13、細部
神は細部に宿る。
・・・・・アビ・ヴァールブック/美術史家
「木を見て森を見ず」という。
大局観のない人、目の前の小さなことにこだわりすぎる人えの注意だ。一方、大局観だ、先見性だというけど、そればかりを気にしているようでは何もわからない。
要は大きく見て、小さなことをおろそかにせずバランスよく見ることであろう。ただ、本物中の本当を見るときに気をつけたいことがある。それは、もう大局も小さなこともなく、全てに配慮がなされているため、一つの小さなことをおろそかにできないことだ。
いや、その細部に人生の真理や宇宙の真理が示されていて、そこから全体を見て、また、なるほどと大きく納得する。
われわれは、ここを目指さなければならない。
「神は細部に宿る」ことがわかる人は、本物がわかる人だ。
14、今月の言葉
自分を変える
人生でただ一つ、自分の責任において変えられるのは自分しかいない。常に問われているのは、自分から変わる勇気を持てるかどうかだ
・・・・・上甲晃(志ネットワーク「青年塾」代表)
継続と辛抱
現実に人生で大切なのは継続であり、辛抱です。才能はそこそこでも、それで何とかなる
・・・・・曽野綾子(作家)
努力こそ道をひらく
天分や素質に心を奪われて嘆くよりも、自己に与えられたものをギリギリまで発揮実現することに全力を尽くすことこそ、より大事
・・・・・森信三(哲学者/教育者)
幸せはコインの裏表
人の幸せと自分の幸せは、まるでコインの表裏。世のため、人のためとなる正しい行いをすることが、自分の幸せに繫がる
・・・・・白駒妃登美(博多の歴女
希望を生み出す
忠節は忍耐を生み出し、忍耐は練達を生み出し、練達は希望を生み出す。そして、希望は失望に終わることはない
・・・・・作家・三浦綾子氏が紹介した『聖書』の一節
人生の目的
昨日よりましな今日、今日よりよき明日であろうと、日々誠実に努め続ける。その弛まぬ営みにこそ私たちが生きる目的や価値が、たしかに存在している
・・・・・稲盛和夫(京セラ名誉会長)
自分自身の人生
あなたの人生を完結するのはあなたしかいない
・・・・・石川洋(托鉢者/一燈園創設者西田天香師の最後の弟子)
強くなる
「俺は必ず成功するんだ!」という断固たる決意が要る。自分自身を信じる心を持って戦う選手と戦わない選手では、大きく差が出てくる
・・・・・井上康生(全日本柔道男子代表監督)
恩を知り、恩に報いる
恩を知ったならば、何か自分に出来ることをさがして、恩に報いる生き方をしなければ申し訳ない。身近なところで何かをしよう
・・・・・横田南嶺(鎌倉円覚寺管長)
幸福の要諦
「与えよ、さらば与えられん」、あるいは「情けは人のためならず」と、愛が持つ偉大な力が古今東西で説かれているように、あなたが差し出した愛は、必ずあなたに返ってきて、あなた自身を幸福にしてくれる
・・・・・稲盛和夫(京セラ名誉会長)
長い目で行動する
人が馬鹿にしたり、眉をひそめるような大きなことや、常識を覆すような新説は、なかなか実現するものではありませんが、諦めずに挑戦し続けることで、遙かに遠く、広まっていくものなのです
・・・・・伊與田覺(論語普及会学監/100歳)
自分のセールス・ポイントを知る
自分のセールス・ポイントは何か、その裏側にある欠点は何か――。それを自覚しなければ、一流への道は拓けない
・・・・・野村克也(野球評論家)
やり通す
辞めないでやり通す覚悟があるのがプロ。やると宣言し、それを確実にやり抜いてこそプロ
・・・・・竹内洋岳(プロ登山家/8000メートル峰14座登頂)
出会いを求める
目指していることがあるなら、先にそれを成し遂げた「その道の先輩」との出会いを積極的に求めていくといいでしょう。一流に交わることによって刺激を受けて、眠っていた遺伝子がオンになる
・・・・・村上和雄(筑波大学名誉教授/遺伝子工学をリードする第一人者)
リーダーの条件とは
上流が濁ったら必ず下流も濁る。だからリーダーは、絶えず自分を律しなければならない
・・・・・谷井康人(谷井農園代表)
一度きりの人生
一度きりの人生、どんな宿命を負って生まれても、「自分自身に生まれてよかった」と言える人生にしていくことが、「自分の人生を自分で守ること」に繫がる
・・・・・岩本良子(先天性骨形成不全症に負けずに運命を切り拓いた、アイインターナショナル社長)
不思議な存在
人間はまことに不思議な存在で、磨けば磨くほど光るのである
・・・・・平澤興(京都大学元総長)
人生をひらく心構え
一日一日をどういう心構えで過ごしたか、皆さん方の人生は、その積み重ねのとおりに創り上げられていく
・・・・・鍵山秀三郎(日本を美しくする会相談役)
経営の神様の人生訓
人間は一人で大きくなったのではない。
会社もまた一人で大きくなったのではない。
あわただしい日々の中にも、
ときに過去を振り返って、
世と人の多くの恵みに感謝する心を
お互いに持ちたい。
その心こそが明日の歩みの
真の力になるだろう
・・・・・松下幸之助(松下電器産業創業者/経営の神様)
お天道様に恥じない生き方
他人は騙せても自分の良心は騙せない。お天道様に恥じない生き方をしている限り、可能性は無限に開ける
・・・・・井上修(国内トップシェア寒天メーカー、伊那食品工業社長)
何かをしよう
何かをしよう みんなの人のためになる 何かをしよう よく考えたら自分の体に合った 何かがある筈(はず)だ 弱い人には弱いなりに 老いた人には老いた人なりに 何かがある筈だ 生かされて生きているご恩返しに 小さなことでもいい 自分にできるものをさがして 何かをしよう
・・・・・坂村真民(仏教詩人)/横田南嶺(鎌倉円覚寺管長)
多様性を認める心
私たちが住む社会は様々な矛盾に満ちています。しかし、その矛盾を超えて、どのような人でも神様から大切にされていることを自覚し、人々のために尽くせる人になりなさい
・・・・・聖心女子大学初代学長・ブリット氏/鈴木秀子(文学博士)