11月の経営方針共有勉強会
今月のテーマ・・・・・《 壁 》・・・・・
・・・・・・・・・・2017年11月01日
・・・・・・・・・・・・・有賀泰治
1、壁
唐の詩人 白居易に「点額魚(てんがくぎょ)」という詩がある。登りきれば龍になれるという「龍門の滝」の故事にちなんで詠んだもの。
「点額」とは “額に傷を受けること ”を指し、点額魚は、滝を登りきれず、岩に打ち付けられて額に傷を負った魚のこと。その魚の気持ちはどんなものだろうと白居易は自問した。
「聞けば、龍になれば天に昇って雨を降らせる苦しみがあるそうだ。そんな苦しみをするよりは、永く魚となって自由に泳ぎ回っている方が、あるいはかえってましかもしれない」(佐久節訳注『白楽天全詩集2』)
大きな壁に挑み、背負わなくても良い苦しみを背負うより、今いる場所で自由に生きている方が幸せではないか・・・・
人生の帰路にさしかかった時、誰の胸にも湧いてくる微妙な心を、詩人は表現したのだろう、しかしある人が論じた。「龍は龍なりに雨を降らす苦労がある。この苦労を苦悩ととるか・・・使命ととるか・・・。この違いが全てに反転の結果をもたらす。
より大きな困難に立ち向かう使命を喜び勇んでこそ、そこにあらゆる道が開かれる。
2、影の努力の中でこそ、人間の底力は培われる
歌舞伎俳優の坂東玉三郎さんは当代一の女形。流麗な舞は海外からも高い評価を得ている。
しかし坂東さんが若い頃は、舞台に立つと笑い声が起きた。身長173センチと、女形としては背が高すぎたためだ。悩みつつ、長身だった過去の女形の写真を見て研究。着物の内側で膝を折り、低く見せることを思いつく。体への負担は大きかったが一心に稽古に打ち込み、低い姿勢で踊れるように。後に彼は「人間国宝」に認定された。
女形には不向きな体型だからこそ、芸が深まり、洗練されたともいえる。一流の域まで実力を高めた人は、華やかな舞台の裏で人一倍の努力を忘れないものだ。
3、挑戦しているからこそ、行き詰ることもある。思い通りにいかない現実と格闘し、耐えてこそ、勝利の喜びも大きい。
17世紀の英国の詩人ミルトンは43歳の時、両目の視力を失った。共和派と王党派が対立する中、共和派を擁護していたミルトンは王党派の論客から失明を嘲笑された。さらに数ヶ月後、妻と1歳の長男が相次いで亡くなった。
光を失っても詩人は静かに忍耐しつづけ。「盲目であることは、盲目に耐えきれないほどみじめなものはない」(宮西光雄訳『ミルトン英詩全集 上巻』)と。困難それ自体は不幸ではない。困難に屈し理想を捨てることが、彼にとっては不幸だった。
ミルトンは生涯で多くのソネット(14行詩)を残しているが、代表的な作品は失明後、口述筆記によって生まれた。失明から15年後には大著『失楽園』が完成。苦境の中で詩人としての深みが増したと言える。
試練は自らを飛躍させ、自身の本懐を強く自覚させてくれる。その意味で「忍耐」と「成長」は一体なのかもしれない。より深い人生観に立ち、何ものにも揺るがぬ自己を築くことが必要だ。
4、「凶」を「吉」に転じる方法
・・・・・『生き方のセオリー』/『致知』副編集長
「窮達は命なり 吉凶は人に由る」
困窮に陥る。あるいは栄達に恵まれる。
これは運命であって人知人力を超えた世界だが、それを吉にするか凶にするかはその人次第である、ということです。
深く頷(うなず)かせるものがあります。歴史上の偉人は皆、困窮の中から運命を飛躍させています。
一方、栄達の中にいながら自らの人生を下落させていく人も枚挙に遑がありません。
窮達は命なり、吉凶は人に由る──この言葉を骨髄に徹して知っておくこと。これは人生を発展させていくための大事なセオリーの一つだと言えます。
もう一つは、
「天意夕陽を重んじ人間晩晴を貴ぶ」/ 渋沢栄一翁が晩年、好んで揮毫したという言葉
夕日の美しさは格別です。一日を懸命に照らし続け、西の空を茜色に染めて沈んでいく夕日の美しさは感動的です。
それは天が夕日のような生き方を重んじている現れに他なりません。
人間もまた、若くして才あり、もてはやされながら、晩年は見る影もないといった早成の人生ではなく、年とともに佳境(かきょう)に入り、晩熟、晩晴していく夕日のような生き方が貴い、ということを、この言葉は私たちに教えてくれています。
どうすれば晩晴の人生を築くことが……
5、挫折や失敗が肥やしになる
・・・・・福島 智/東京大学先端科学時術研究センター教授
挫折や失敗をすることはしんどい、できるだけ避けたいけれど、おそらくほとんどの人が人生のどこかでそれを経験する。いくら避けようとしても必ずなにかしらのものはやってくる。だから来た時に、“ これは肥やしになる ” と思えはいいんですよ。
私が子供の時代には、まだ日本にもたくさんあった肥溜めは、臭いとみんなが避けちゃうけれど、それが肥やしとなって作物を育てた。一見無駄なものや嫌われているものが、実は凄く大切なものに繋がるということでしょう。これは自然界の一つの法則だと思います。
6、人間は試練があると閃く
・・・・陳 昌鉉/バイオリン製作者
木曽は山奥ですから、せせらぎの音や蝉の声、野鳥の声がどこにいても聞こえてくるんです。それを聞いていると、ラジオから流れてくるバイオリンの音と非常によく似ているということに気づきました。ああ、共通するのはこれだと。それで、この自然で無理のない音を、音楽で表現できないかと考えました。
人間は試練があると閃くんですよ。普通の人が考えないことを考え、聞こえないものを聞こうとして必死になる。名器はなんであれほどまでに心に響くのか、鳥肌が立つのか。音波はどうなっているのか。
(略)
よく運命は自然に任せるというでしょう。でもバイオリンの音は物理的な現象ですから、偶然は絶対にない。まぐれでも、ああ こんな名器ができたなんてありえません。十丁作ってすべて成功した時に、初めて自然の法則が分かったといえるんです。
7、今日の一織り一織りは次の色にかかっているんです。
・・・・・志村ふくみ/人間国宝・染色作家
何事でもそうですが、織にも、浮かぶものと沈むものがあるわけです。要するに綾(あや)ですが、これがなかったら織物はできない。上がってくるのと下がってくるのが一本おきになっているのが織物の組織です。そこへ緯糸がシュッと入ると、経糸の一本一本を潜り抜けて、トン、と織れる。
私たちの人生もこのとおりだと思うんです。いろんな人と接する、何かを感じる。でも最後は必ず、トン、とやって1日が終わり、朝が来る。そしてまた夜が来て、トン、とやって次の日が来る。これをいいかげんにトン、トン、と織っていたら、当然いいかげんな織物ができる。だから一つ一つを真心を込めて織らなくちゃいけない。
きょうの一織一織りは次の色にかかっているんです。
8、「金が欲しい時に金を追うたらあかん。人を追いなさい」/中井一男
・・・・・中井政嗣/千房社長
わたしが千房を創業して大きな借金を抱えていたとき、常磐薬品創業者の中井一男さんから
「政嗣さん、あんたは大きな借金を抱えているけれども、金が欲しい時に金を追うたらあかん。人を追いなさい」
と言われました。人を追えというのは人を捕まえるのではなく、人を喜ばせること・人を集めることに専念しろという意味なんですね。この一言に救われたことは、いまも忘れられません。
9、苦労に苦労を重ねた挙げ句、達成したものこそが本物である
・・・・・坂田真民/仏教詩人
頭のいい人は愚直に一筋のものにかけるということをしませんね。しかし、花は一瞬にして咲かない。大木も一瞬にして大きくはならない。一日一夜の積み重ねの上に、栄光を示すんです。わたしはそういうタイプのものが好きです。
宗教家は一瞬にして開眼し、回心する人がいて、そういう生き方を強調賛美しますが、わたしはそういうタイプや信仰は好みません。苦労に苦労を重ねた挙げ句、達成したものがいいです。わたしはそれが本物ではないかと思います。一瞬にして変わったものは、一瞬にして変化しますからね。
10、意思の範囲にあることは言い訳をしないで、自分でやる。
意思の範囲にないことは問題にもしない。心を動かさない。
・・・・・渡部昇一/上智大学教授
ヒルティのエピクテートスの哲学とは。
一種の “ 悟り ” の哲学です。どういうことかというと、自分の置かれた環境の中で、自分の意思で自由になる範囲と、自分の意思で自由にならない範囲をしっかりと見極めることです。自分の意思の範囲にあるかどうか。そこにすべてが、かかっているということです。
ただ、それがはっきりとわからないとだめです。
はっきりとわかると、自分の意思の範囲の中にあるものは、自分が考えて最善の手を打つ。打ちたくなければ打たなくてもいいが、すべては自分の責任です。ところが、自分の意思の範囲にないものはあきらめる。こういうものに対しては、絶対に心を動かさないということです。
(略)
意思の範囲にあることは言い訳をしないで、自分でやる。で、意思の範囲にないことは問題にもしない。
11、地球上で最も必死に考えているひとのところにアイデアの神様は降りてくる。
・・・・・森岡 毅/元ユー・エス・ジョイCMO
人間って不思議なもので、そうやって追い詰められて重圧がかかると、自分自身でも意識していない遺伝子が目を覚まして、とんでもない能力が覚醒したり、アイデアの神様が降りてくることがあるんです。
ある問題について、地球上で最も必死に考えている人のところにアイデアの神様はおりてくる。これはわたしの実感ですね。
私はマーケッターの端くれでマーケティング技術はそれなりに持っているつもりなんですけれど、これまで1.4倍の集客を支えたのは小手先のマーケティング技術じゃないと思っているんですよ。三年半の間、何度も壁に直面し、その都度、歯を食いしばり、執念でアイデアを振り絞ってきた、その泥臭い積み重ねです。
12、人間は何をおいても、忍耐力、耐え忍ぶ気持ちが大事
・・・・・渡辺公ニ/西脇工業高等学校陸上部監督
人間は何をおいても、忍耐力、耐え忍ぶ気持ちが大事だと思います。絶対に諦めない、できる、という気持ちを持つ。ダメかもしれないという気持ちを持てば、次から次へとダメになる。負けるかもしれないという気持ちを持てば、必ず負ける。
気が弱いという性格が強いものにはなりませんが、やればできる、絶対に負けたくないという気持ちを持ち続ければ、物事は成し遂げられる。
13、踏まれて踏まれて大きくなった人間が将来大物になる
・・・・・小嶺忠敏/長崎県立国見高校サッカー部総監督
うちの地方では麦踏みというのがあるんですよ、麦は少し背丈が伸びたら踏み倒す、一週間くらいたって、また伸びてきたら、また踏み倒す。それを3回くらい繰り返すんですよ。
ある日、母に「どうして何度も踏み倒すの」と聞いたら、「踏まれた麦は上を向きスクスク育っていくが、踏まれない麦は冬に霜や雪が降るとしおれてしまって、作物にならない」と。続けて「人間も同じだよ。小さい頃や若い頃に苦労して、踏まれて踏まれて大きくなった人間が将来大物になるんだぞ」と教えられました。
14、命を懸ける気になればなんでもできる
・・・・・宮脇 昭/横浜国立大学名誉教授国際生態学センター研究所長
人間は本気になれば大抵のことはできます。
命を懸ける気になればなんでもできうる。
うまくいかないとかとりこぼしがあるというのは、油断しているか、あるいは手を抜いているかです。本気になれば、人間によって作られた半砂漠だって森に変えることができる。私はそう信じています。
15、仕事でもらったスランプやストレスは仕事でしか解消されない
・・・・・松本明慶/大佛師
スランプやストレスは何から起きるかといえば、結局は仕事から起きているんです。だからそのストレスは仕事でしか解消されないんですね。
だから仕事でもらったスランプは仕事でしか返すもんがないんです。それでもまた次にスランプがやってきますけど、そうやって繰り返していくうち、だんだん間隙が少なくなって、すーっと仕事ができるようになります。
一つの道を究めていくには精進を続けていかなければなりませんが、そのためにまず考え方を変えないとダメだと思いますね。考え方が変わると行動が変わります。行動が変わると結果が変わります。
16、ピンチこそ、創意工夫を生む絶好の機会
・・・・・西堀栄三郎/理学博士
ピンチこそ、創意工夫を生む絶好の機会です。知識を知恵に変えるのは切迫感です。切迫感がなきゃ、知恵も生まれてきません。
ピンチがないときは自分で切迫感を持てばいい。どう持つか。責任感から切迫感が感じられるようになれば一番です。
大体、人は自分の責任を他へ転換したがるもんです。何が悪いか、上司がどうとか。みんな責任をよそへよそへと持っていこうとする。その癖をやめ、自分に与えられた仕事は自分の責任と考える。責任者だから、どこへも持っていけないとなると切迫感も強くなるし、知恵も出てくる。
17、今月の言葉
苦労
苦労もせずに得たものというのは、すぐ失われてしまう
・・・・・木下宗昭(佐川印刷会長)
強くなる
当たり前のことに感謝できるようになったら強くなる。 身近な幸せに気づくようになった人は強くなる
・・・・・谷崎重幸(東福岡高等学校ラグビーフットボール部監督)
勝ち続けるために
人間は、なぜ負けたか考えるけれども、 なぜ勝ったかあまり考えようとしない。 いいときのチェックもまた非常に大事である
・・・・・野村克也(野球評論家)
困難に耐える
艱苦を経るに因〈よ〉って精神を倍〈ま〉す (困難に遭い、苦しみ悩むことによって、精神は鍛えられる)
・・・・・吉田松陰(幕末の志士)
自分にできる精いっぱい
やけになったりせず、 自分にできることをコツコツやっていくと、 いつしか道は開けていく
・・・・・吉田都(バレリーナ)
少しの勇気
少しの勇気を持って挑戦する。 そうすれば、必ず道はひらける
・・・・・田村聡(登山家/聴覚障害者として世界で初めてエベレスト登頂)
性格→運命
思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。 言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。 行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。 習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。 性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから
・・・・・マザー・テレサ
コンプレックスを武器に
コンプレックスを持つ人は欠点を補うために 努力と研究を重ねることができます。 逆に自分はできていると思うと成長は止まってしまう
・・・・・吉田都(バレリーナ)
人生は心づくりの道場
この世の中そのままがわれわれにとっては道場であります。 生まれて死ぬまで人間は修業しているものと思われます。 それは「使い方」の修業です。 身体の使い方。心の使い方。 金の使い方。力の使い方。知恵の使い方。 鮮やかな使い方。正しい使い方。自然に添う使い方。 気持ちよい使い方。──それを毎日修業する。 そのための人生は心づくりの道場であると思います
・・・・・常岡一郎(修養団体『中心社』創設者)
どんなことがあっても、 私は喜びだ、感謝だ、笑いだ、 雀躍(こおどり)だと、勇ましく、 溌剌と人生の一切に勇往邁進しよう
・・・・・中村天風(天風会創始者)
成功よりも、チャレンジしていることに価値がある
・・・・・栗城史多(登山家)
幸福を呼び込む
試練を、絶好の成長の機会としてとらえることができる人、 さらには、人生とは心を高めるために与えられた期間であり、 魂を磨くための修養の場であると考えられる人。 そういう人こそが、限りある人生を、豊かで実り多いものとし、 周囲にも素晴らしい幸福をもたらすことができるのです
・・・・・稲盛和夫(京セラ名誉会長)
いつかは晴れる
根気づよくしんぼうしていれば、 必ずやいつかは晴れる日がくるものです
・・・・・森信三(哲学者/教育者)
困難な道~発明王の金言~
楽な道を歩もうとする人は多い。 そんな人には平凡な結果しか待っていない
・・・・・エジソン(世界の発明王)