8月の経営方針共有勉強会
経営方針共有勉強会
《環境整備》
2014年1月1日使用
2020年8月1日加筆
有賀泰治
1、環境整備
企業の利益は、花と実です。豊かな実りを得るためには、逆算すると、強い枝葉、太い幹、そして最後に根にたどりつき、決して目には見えなくても、深く伸びた根が大樹を支えるのです。
会社で根に当る部分は。①「物的環境整備」、②「人的環境整備」です。
環境整備とは、単なる清掃ではなく、仕事がしやすい「環境」を「整」えて「備える」ことです。
環境整備は習慣整備で、地味なことをコツコツと積み重ねる習慣と同じ。
幹は根から栄養を吸い上げ、枝葉に届ける役目があり、同時に枝・葉・花・実を支える。この幹に当るのが、③「情報環境整備」
この①②③の環境整備によって、よい社風が醸成されます。
「環境整備なくして事業なし」一倉定先生の、有名な言葉。
環境整備は、まさに、会社の「根幹」です。
根が張り、幹が伸びたら、枝葉です。
会社で枝葉に当るのが、「企業文化」です。
大は国家から小は家族まで、人間の集団は必ず「文化」が存在します。それは会社でも例外ではありません。
心を一つにし、同じ方向を向いて仕事をするためには、「共通化」が鍵となります。共通化するのには、「言語」「認識」「道具」が必要です。
「経営計画書」によって、共通化を図り、リーダーの方針が正しく伝わり、適切に実施されることです。
会社はこのように成り立っています。
利益を得たい、高い給与を得たいとおもったら、環境整備をして良い社風をつくり『強い根をはり、幹を太くし』、『経営計画書』の共有化で、強い企業文化『枝葉』をつくれば良いのです。
ただし、土壌に栄養がなければ、吸い上げることができません。
土壌に当る部分は、環境整備を行なう人たちの姿勢です。
2、環境整備で会社の基盤をつくる。
良い社風をつくる環境整備とは
①「物的環境整備」、②「人的環境整備」、③「情報環境整備」を地道に積み重ねること。
3、「物的環境整備」
すべての基本となるのは、「物」環境整備です。
「健康な身体に健全な精神が宿る」と言われます。
会社にとって「身体」とは、建物をはじめとした「物」の部分です。まず、物的環境整備ありきです。
環境整備の手順
整理
整頓
清掃
清潔
「整理」とは、捨てることです。必要な物と不必要な物と分け、徹底的に捨てることです。
相田みつをさんの言葉に「あってもなくてもいいものは、ない方がいいんだなぁ」とあります
「整頓」いつでも、誰でも使える状態を保つことです。物の置き場所を決め、向きをそろえ。仕事がやりやすい環境を整えます。使用頻度に応じて戻していけばいいのですから難しくありません。よく使うものは手前に、めったに使わない物は奥に、とう具合いに。
「清掃」整理・整頓ができて、初めて「清掃」に進むのが環境整備の基本。清掃とはきれいにすること。継続して進めるには細かな工夫も必要。
清掃用具はだれからも見える場所に置くことです。
「見える」は気づきの心をやしなうにも重要なポイントです。清掃用具、清掃ロッカーは誰からも見えるところに設置してください。
清掃作業計画表・担当区分・担当者(一人の担当範囲を広くしすぎない。)を決めて、掲示する。重要なのは掃除を通じて気づきの感性を養うこと。
「始める時間」と「費やす時間」この2つの時間は厳守する。必ず就業時間内にする。掃除を仕事として取り組む。
「清潔」①②③の状態を維持することで、月に1回は環境整備の巡回を行い出来、不出来を確認し、納得のいく評価をする。
点検項目を決め、告知、良い○、悪い×を明確にして、次回につなげ改善を図る。
そして、点検項目を部門ごとに集計し、優秀な部署を表彰する。
人間はすぐに慣れてしまい、感覚を鈍化させる動物です。ここれらの工夫も、やがては慣れてしまい、埋もれていきます。少しずつでも工夫、改善したり、新しい取組みを導入したりすることで、環境整備の質を落さないように工夫し続ける。
4、「人的環境整備」前途の整理、整頓、清掃、清潔に加えて、⑤躾で5Sと呼ばれます。
人的環境整備の中心は、「礼を正す」です。
前途の整理、整頓、清掃、清潔に加えて、⑤躾で5Sと呼ばれます。
はっきり明るく返事、挨拶をする。これが基本。
- 返事
- 挨拶
- 笑顔
まず返事ありき、そして挨拶、笑顔です。
人間の耳に最も快く感じるのは「ラ」の音。「ラ」の音で「はい」と答えれば相手も印象を持ちます。
特に電話は相手が見えないので重要な要素です。声の高さを意識した対応をすることです。
ラの音で「はい」と言ったら、続けて「かしこまりました」言うと、これが最もお客様に喜んでいただける返事です。
繰り返すことで必ず言えるようになります。そして、続けるうちにどんどん上手になります。お客様の感動も、それにつれて大きくなっていきます。
物的環境整備と人的環境整備、これが樹木でいう「根」に当る部分です。これをおろそかにしては、花も実もないです。
充実した根を張るためには、地道な取組みを、毎日毎日徹底して続けることです。
環境整備とは、習慣整備です。
人的環境整備というと、人を変えるようとすることではないです。人は、汚いところで明るい返事、挨拶、笑顔を、と言ってもできないのが当然です。それは当人の資質や性格ではなく、人間が普通に持ち合わせたまともな感覚なのです。
ですから、まず場を淨め、環境整備は物からが基本です。そして人的環境整備をとりくみます。
5、「情報環境整備」
根の上は「幹」です。細い幹の樹木に豊かな実りは期待できません。根が整ったら、幹の充実が必要。
幹に当るのが、「情報環境整備」です。
根が吸い上げた栄養分は、幹を通じて最後は花や実に至ります。同じように、情報の伝達が遅かったり、コミュニケーションが不足していたりする会社は業績が伸びません。
情報環境整備とは、コミュニケーションの促進です。
コミュニケーションなくして、現場力が高まることはありません。
情報環境整備では、まず、次の2つを徹底します。
①時間を守る。
➁報告の内容を統一する。
① 情報を滞らせない感性を養うためには、「時を守る」ことが効果的です。
たとえ1分でも遅刻は遅刻です。相手を待たせるということは、他人の時間を盗むことです。してはいけない行為だと理解し、時を守ることを習慣化すること。
➁次に報告
まずは、
① 「数字報告」 さまざまな決定の根拠になる。
次に
② 「お客様の声」 ただし、クレームのように緊急を要するものは最優先する。
そして
③ 「ライバル情報」
最後が
④ 「自分の考え」
これは、意思決定に際し、現場がわかる情報環境整備を重視する。
6、お客様の判断の9割は「見た目」と「声」
人も会社も。見た目と聴覚で9割を判断されます。
一般に人間は「視覚」「聴覚」「味覚」「臭覚」「触覚」の5つの感覚を持つと言われますが、中でも重要なのが視覚と聴覚です。この2つで判断の9割を決定します。
つまり、お客様はまず見た目、声で判断し、「これは良さそうだ」思って初めてお金を払ってくれるのです。
見た目と声で、9割が決まるのです。
この事を話すと、「レストランであれば味覚や臭覚が重要ではないか」と思いますが。
しかし、レストランもやはり見た目と声なのです。まず、汚いレストランには誰も入れません。
よく「汚いけれど美しい店」などと言われるところがあります。古びているのと不潔なのを混同しないように。「汚いけれど美味しい店」と言われる店舗を見ると、内装は古びていても床は磨かれ、食器は輝いています。従業員の制服は白が目に鮮やかで、何より表情が明るいはずです。
美味しくて繁盛している汚い店はありえないのです。
見た目をクリアーしたら、ドアを開け、
次は「音」です。
「いらっしゃいませ」と明るく元気な声が聞こえてきました。きちんと自分の目を見ています。
ここに至ってようやくお客様はその店を選ぶのです。そして、繰り返し、繰り返し、繰り返し利用してもらえるのです。
美味しいというのは、基本中の基本で当たり前のことです。見た目と挨拶が悪ければ出て行かれるし、次はないです。ライバルの店舗は周りにはいっぱいあります。
自分が色々な店に行ったときの事を考えてみてください。
良かったな、また行きたいな、と言うのは、商品の良さだけではなく、外見や内装、スタッフの挨拶、清潔な店舗が印象に残ったからではないでしょうか。
人はあえて、その店を商品以外のものを求めているということです。それは「感動」です。感情が動いているから記憶に残るのです。
7、環境整備の原理原則
物的環境整備と人的環境整備を根とし、コミュニケーションを幹に、強い企業文化という枝葉を広げた樹木となったとき、初めて、会社は実りの季節を迎えます。この仕組みが強いほど多くの花が咲き乱れ、豊かな果実がたわわになるのです。
物、人、情報の環境整備が利益をもたらします。
これが、経営の原理原則です。
リーダーは「もっと利益を」「日本一になりたい」「上場したい」といろいろな花を咲かせることを望みます。社員の方も、「もっと休日がほしい」「もっと給与がほしい」と願います。どちらも当然のおもいです。
偉大な教育者、森信三先生が「現場再建の三大の三大原則」として「場を淨め、礼を正し、時間を守る」ことを挙げ、「学校の再建はまず紙くずを拾うことから―――。次には靴箱のかかとが揃うように。真の教育は、こうした目前の項目からスタートすることを知らねば、一校主宰者たるの資格なし」と述べています。同様に、物、人、情報の環境整備に取り組むことによって、初めて、会社は、経営者も、社員も望む結果に到達することが出来るのです。
8、環境整備は、形から入り心に至る
まず、環境整備は目に見えるもの、形のあるものから始める。明瞭な方法がわかり、結果が納得のいく確認ができるものからスタートする。
具体的な方法で環境整備をする。「きれいにする」は厳禁。
「白くする」「50音順にまとめる」などと具体的に実施する。
人的環境整備も形から入る。
挨拶を、したか、市内か、お辞儀は分離礼かどうか、一目瞭然、わかりやすいことから、しっかりスタートする。
「いい返事をしなさい」では主幹が介在し、人によって認識が違うので、いい返事とはどのような返事で、何をすればいいのか。
『返事はラ音で、「はい、かしこまりました」と言う』誰でも練習すればできるようにうなります。
不要物が山積みされているところは後回しにして、簡単にできるところから始めることがコツ。わずかなことすらも放置していたのが会社の文化となって、業績に表れます。
小さなことをコツコツ徹底し続けた暁には、会社が大きく変わった実感が待っています。
9、汚いことに気づけない人は、お客様の心にも気づくことはできない。
社風と環境整備、利益と環境整備は直結しないように思われるかもしれません。環境整備によって良い社風ができ、利益が上がるのはなぜか。
環境整備はおろか、普通の掃除や片付けすらもできない会社があります。床に落ちたクリップやポストイットは放置、喫煙室は灰だらけ、トイレの床にはトイレットペーパーの芯が転がりっぱなし、手入れをしないまま枯れた植木・・・・・・
こういう会社が業界のトップのシェアを持っているとか、何処にも真似できない独自技術を持っているといったことは断じてありません。社内が乱雑な会社は、例外なく業績が悪いのです。
なぜ、フロアや喫煙所、トイレや植木の状態が会社の業績に関係するのでしょうか。
原理はとても簡単です。
乱雑さを乱雑さとして認識できない鈍い感性は、当然、お客様対応のビジネスの進め方にも悪い影響を及ぼすからです。
毎日汚い環境の中にいるとどうなるでしょう。それが当然になります。つまり、社員の心も自然と汚れるのです。
きれいが普通だと、少しの汚れにも気づきます。
人間は、自分の目で見ている物、感じている物に気持がだんだん似てきます。目に見える物。形ある物は、最終的には人の心につながるのです。(鍵山秀三郎氏)
もう一つの理由は
物的環境整備は、一見単純作業のように見えるかもすれませんが、毎日徹底的に続けるのは簡単ではないです。
そもそも環境整備に取り組む人間の心が一定ではないから、最初はばらつきが出るものですが、それでも徹底して続けると、やがてやるべき環境整備以外の場面でも「ここが汚い」と気づけるようになります。
このような感性が養われた先に、ようやく変わり続ける「お客様の心」み気づける域に到達します。
野球選手の基本はキャッチボールです。傍からは単純に見えるが、一流選手は絶対におろそかにしません。一球一球丁寧に投げる中で、わずかな体調の変化やフォームの乱れに気づくことができます。
会社も同じです。床に落ちたゴミや壁の汚れといった、明かに目に見える物を見逃す人間が、どうして転変してやまないお客様の心を推察できるのでしょうか。
気づける感性を養えたとき、お客様の心にそった仕事ができます。するとお客様は初めて、「花と実を採っていいですよ」と言ってくれるのです。
10、「お前の良さをわかってもらえる前に、シャッターが下りる!」
気づける感性を養えたとき、お客様の心にそった仕事ができます。するとお客様は初めて、「花と実を採っていいですよ」と言ってくれるのです。
このような感性が養われた先に、ようやく変わり続ける「お客様の心」み気づける域に到達します。
物的環境整備は、一見単純作業のように見えるかもすれませんが、毎日徹底的に続けるのは簡単ではないです。
きれいが普通だと、少しの汚れにも気づきます。
乱雑さを乱雑さとして認識できない鈍い感性は、当然、お客様対応のビジネスの進め方にも悪い影響を及ぼすからです。
なぜ、フロアや喫煙所、トイレや植木の状態が会社の業績に関係するのでしょうか。
環境整備はおろか、普通の掃除や片付けすらもできない会社があります。床に落ちたクリップやポストイットは放置、喫煙室は灰だらけ、トイレの床にはトイレットペーパーの芯が転がりっぱなし、手入れをしないまま枯れた植木・・・・・・
社風と環境整備、利益と環境整備は直結しないように思われるかもしれません。環境整備によって良い社風ができ、利益が上がるのはなぜか。
11、神は細部に宿る~God is in the detail
ドイツの美術史家、アビ・ヴァールブルク(1866~1929)が言った言葉とされています。 言葉の意味としては、物事を大きく見て、小さなことをおろそかにしては意味がない。その細部にこそ人生の真実や宇宙の真理が示されているからだ。
「神は細部に宿る」ことがわかる人は、本物がわかる人なのだ。
大きな目的を達成するためには、細かなディテールを疎(おろそ)かにしてはならない。 または、細かくこだわった細部こそが本質を決める。
また、ミース・ファン・デル・ローエの言葉として、ニューヨークタイムスのローエ追悼記事にも載っているとあります。
けれども、 それ以前にヴァールブルク、フローベル、アインシュタイン、ル・コルビジェ、ニーチェ等様々な人が言っているとも書いてあり、はっきりとした結論はわかりません。
12、リーダーたるあなたへ。リーダー自身が先頭に立たないと環境整備は進歩しない。
一番重要なことは、必ずその集団のリーダーが先頭に立つこと、リーダーの決心と覚悟は、大きな力を持つ。・・・・・その気がないのもそのまま伝わる。
その集団とは、会社、家庭、地域や組織・・・すべての集合体です。
特に、どんな会社にも複数のライバルがいます、そのライバル各社が、日々変わっていこうと努力する中、わが社が前進していないならどうなるかは明かです。周りが進歩しているのだから、取り残されていくだけです。現状維持でいればとりあえず今の業績が保てると思っていたら、まったくの誤りで、ライバルとの比較で相対的に後れをとってしまいます。
そうすると、お客様から見捨てられます。お客様はお金を払って仕事の仕方を教えているのに、ちっとも進歩しないのなら当然です。
最後はあなたです。
時代やお客様、ライバルが進歩する以上、わが社も進歩しないというのはありえない選択肢です。
そして、家庭では、習慣整備「よい言葉を使う、よい行動をとる」
特に親がこの視点を持つことで、子どもは社会に出て、周囲の人と接する時、絶えずどのような言葉遣いをしたらいいか、細心の注意を払えるようになります。それが人柄や人格になっていきます。